日光浴と健康の関係性
秋のレジャーでもまだまだ日差しが強い日がつづきます。日焼けして肌にダメージを避けたいという人は多いと思います。
植物にとって日光が必須であることに異論がある人はいないでしょうが、人の場合はどうでしょうか。
「皮膚ガンになるから避けるべきだ」
「年をとるとシミなってしまうよ」
という話を聞くことがありますが、一方で肯定的な意見もあります。
「日光に当たることで、肌でビタミンDが生成されます。ビタミンDには抗うつ作用、抗アレルギー作用、骨粗鬆症予防作用があります。さらには抗ガン作用まである人の体にとってはとても重要なビタミンなのです。
では結局、日光は良いのか?悪いのか?
答えを出すヒントは、SLE(全身性エリテマトーデス:全身性紅斑性狼瘡)という病気です。この病気は、自分の細胞内の核に対して抗体ができる免疫疾患です。SLEの患者さんは皮膚に発赤や水疱ができてしまうので日光に当たってはいけないとされています。これは、抗酸化力がものすごく低下しているからです。普通の人なら全く害のない程度の日光にも過敏に反応してしまいます。
日光の紫外線による悪影響として、活性酸素が発生してしまうのは事実です。だから、海や山などレジャーにいく計画がある人は、しっかり抗酸化力を高めておく必要があります。そうすれば太陽の害はシャットアウトし、ビタミンDの効用という恩恵だけあずかることができます。日頃から抗酸化力をたかめた状態であれば、日焼けしても赤くならずにしっかり黒くなります。
具体的には、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、亜鉛、コエンザイムQ10、α-リポ酸あたりの摂取をお勧めします。これらは日々の健康維持のためにもとても有効だと考えています。
日焼け対策は事後対応も可能です。ソール先生のお勧めは、思いのほか太陽の光をたくさん浴びてしまったら、その日の夕方、ビタミンEの錠剤にハサミで切れ目を入れて、そこから液体を取り出し、肌に塗っておくというもの。ソール先生が家族で海水浴にいったあと、娘さんは日焼けしたところにビタミンEを塗って日焼けの後遺症はなかった。ただ、娘さんのお友だちは、唇の周りだけビタミンEを塗り忘れて、翌日唇が腫れてしまったそうです。
皮膚ガンを抑止するビタミン
では、「オーストラリアでの皮膚ガンの増加はどう考えるのか。それでも太陽は体に良いと言えるのか。」というご指摘についても考えてみましょう。一つの事実として、いまだに伝統的な暮らしを営むアボリジニーでは皮膚ガンは増加していません。文化人類学的に考えると、そもそもオーストラリアという土地は、白色人種には不向きな土地だったのではないでしょうか。
500万年前にアフリカで発生した人類が、次第に北上するにつれて白色人種になりました。ヨーロッパ大陸に進出するにあたりもっとも適応に苦労したのは日光照射量の少なさでした。メラニン色素の豊富な黒い肌では日光をブロックしてしまいビタミンDを体内合成できないからです。白い肌、金髪の髪、青い瞳、これらは全てメラニン色素の生成量を抑えようして生じた形質です。これによって北欧の少ない日光でも効率よく紫外線を吸収できるようになりました。
そして寒さにも適応したのです。冷たい空気呼吸で少しでも加温するために鼻が大きくなり、体格はベルクマンの法則に則って巨大化していきました。こうした進化には何万年もの月日を要しました。
ところが、大航海時代に入りヨーロッパ人は世界中に進出し始めました。白い肌で、少ない太陽でも効率的に暮すという省エネ型の人種が、南半球のかんかん照りの太陽の下で暮らすようになったのです。進化の歴史と照らし合えば、皮膚ガンの増加という不適応が起きても不思議ではありません。
もう一つは、いつものように、良かれと思ってやっていることが逆に害を及ぼしているという話です。それは日焼け止めです。実は、この日焼け止めに発ガン性があるのではないかという話があります。メーカーによってちがうのでしょうが、日焼け止めクリームに含まれているある成分がホルモンバランスの異常や皮膚ガンを引き起こすということがわかっています。ですから、日焼け止めクリームを選ぶ時は慎重に。中村先生は、ビタミンEこそ、簡単でもっとも効果的な日焼け対策だと考えています。