動脈硬化の原因!?コレステロール
健康診断でも要注意マーカーの一つになっているコレステロール、みなさんもよくご存知かと思います。
そもそも、コレステロールの値が高いと何が悪いのでしょうか。
「動脈硬化の原因になるから」というのが一般的にもっともよく知られている理由です。だから高いコレステロール値を見れば、医者は薬を処方して躍起になって下げようとします。つまり、現代の医療界においてコレステロールはそれ自体が追放されるべき悪者、治療されるべき病気と考えられているのです。
しかし、ここでは重大な事実が見落とされています。それは、コレステロールが原因で動脈硬化が起こったことは、有史以来、一つの例もないし今後もあり得ないということです。確かに、コレステロールが高いということは、動脈硬化やその延長線上にある心筋梗塞や脳梗塞の発症に関連するリスク因子になります。しかし、ただそれだけのことなのです。
それだけのことであるはずのものが、いつの間にか”相関関係”と”因果関係”が混同されてしまったのです。それどころか、あたかもコレステロールにすべての原因があるといった状況に至ってしまっています。
コレステロールのせいで動脈硬化になるというのは、例えば、消防士がいるから火事が起こると言っているようなものなのです。ある種の血中脂質増加と動脈硬化および心筋梗塞の発症率増加との間には”弱い相関”がありますが、だからといって、その血中脂質が問題の張本人というわけではないのです。
これは、体内で脂質がどのように働いているかを考えてみるとわかりやすいと思います。コレステロールは、皮膚で太陽照射を受けてビタミンDに変換されるれっきとした抗炎症物質なのです。
誤解されたコレステロール
コレステロールは不当な批判を浴びているわけですが、では一体何が真の原因なのでしょうか。
砂糖や精製小麦など現代人が好んで過食している精製糖質、これこそが問題の本質なのです。これらの糖質は体内で炎症を引き起こします。体はその炎症を何とか鎮静化しようとして、コレステロールの血中濃度を上げるのです。しかし、絶えざる糖質の流入に対して、コレステロールの増産で対処できなくなったとき、古いコレステロールが動脈に沈着しはじめます。これが動脈硬化の始まりということです。
多くの医師が勘違いしているようですがコレステロールは何も悪くないのです。炎症を鎮めようとしてわざわざ出張ってきただけの話なのですが、火消しにやってきた消防士が、放火の犯人だとして批判されているのです。
しかし、こんな乱暴な理論に基づいて、大真面目に「治療」が行われるのが現代の医療です。本質的なところで考え方を誤っているのですから、患者さんにメリットはないでしょう。
善玉コレステロールと悪玉コレステロール
俗に善玉コレステロール(HDL)、悪玉コレステロール(LDL)などと言われていますが、善玉、悪玉という別種のコレステロールが存在するわけではありません。コレステロールは一種類しか存在しないのですが、この俗称は血中の移動様式が異なるだけの話です。
HDL(高密度リポタンパク)はコレステロールの回収屋で、体内の各組織にあるコレステロールを肝臓へと運びます。HDLの血中濃度が高いのは好ましいことで、動脈硬化の発症を防いでくれます。
LDL(低密度リポタンパク)は、逆に、肝臓から全身にコレステロールを輸送する運び屋です。これは「悪玉コレステロール」と言われていますが、LDLが本当に「悪玉」、つまり体に害をなすのは、LDLが”酸化”したときだけです。HDLをクリーンな電気自動車だとすると、酸化LDLは散々排ガスをまき散らす燃費の悪いディーゼル車のようなものだと考えてください。だから、血中脂質を調べるということは動脈硬化の進展具合を見るのに役に立ちます。
ただ、総コレステロール(HDLとLDLの合計)は計っても意味がありません。100台車を持つのは悪いことでしょうか?それ自体では何とも言えません。100台全部が能率的なクリーンな車なのか、錆びついたおんぼろの車なのかで全然話が違ってきます。
悪玉コレステロール(LDL)が高い時に調べる指標
HDLの数値が高いことは好ましいことで、この数字は、高ければ高いほど良いのです。一方、LDLが高いときには、さらに精査してリポタンパク(a)を調べてみてください。LDLの酸化度合いを知ることができます。このリポタンパク(a)濃度が30mg/dl以上になると、動脈硬化を背景とする合併症(心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症)の発症率が激増します。おもしろいことに高脂肪食を食べた後には、この濃度が低下することがわかっています。動脈硬化は血管に脂がつまっているわけではないということが、この一事からでもわかっていただけるかと思います。
ただし、コレステロールの値をまったく無視するというのも問題です。LDLが高い原因は、体が大量のコレステロールを産生する必要に迫られているか、もしくはコレステロールの利用効率が落ちているか、あるいはその両方です。これには何らかの対応が必要ですが、薬を飲んで万事解決とはなりません。スタチン製剤は肝臓のコレステロール産生を止めますが、これは火が燃え盛っているのに消防士を帰らせるようなもので、何の根本的解決にもなっていません。
では、どうすべきか?
薬などで人為的に下げるのではなく自然に下がるようにすべきです。そのためには、コレステロール上昇の背景(インスリン抵抗性、炎症過多、酸化ストレスなど)の改善に取り組むべきなのです。オーソモレキュラー栄養療法に則った具体的な対処法は、過剰な精製糖質の摂取を控え、ビタミンK2、ビタミンD3といった脂溶性ビタミンや、ビタミンC、ナイアシンなどの水溶性ビタミンを意識的に摂ることで、症状改善の助けになると思います。
参考:Vitamin K2 and the Calcium Paradox(Kate Bleue著)