砂糖の本質を知る
フランスでは「角砂糖とキャンディーで安全運転を」という標語があります。
運転中疲労を感じたら休むとともに、甘いものを補給することで安全運転に繋がるとした考えからです。確かに疲れた時や眠いときなど、甘いものが欲しい、糖質(炭水化物)が欲しいと思う感覚はみなさんも経験されたことがあるかと思います。砂糖を摂ると疲れを回復できます。上質なエネルギーです。記憶力をアップさせます。
といった意見もありますが、オーソモレキュラー栄養療法、筋肉チューニング的観点から砂糖の本質について考えていきます。
砂糖の基礎知識
まず砂糖はサトウキビ、ビートから作られていて、原料にはビタミン、ミネラルが含まれていますが精製という加工過程で、ビタミン、ミネラルを削ぎ取っていきます。精製過程で様々な薬剤を使用して、白い結晶になるまで精製していきます。化学物質で精製されていきますが、その化学物質とは苛性ソーダ、硫酸を用います。これらは本来食品に使用すべきでない危険な劇薬ですが、こうした製法が法的に認められていることも問題です。
黒砂糖なら大丈夫そうだという考えも出てきますが、白砂糖やグラニュー糖を取った残りの蜜をさらに煮詰めてカラメル化したもので、カラメルは、体内で尿素系の化学物質を作り出します。
運動機能・学習機能の低下、運動意欲・学習意欲の低下などに結びついているという指摘もあります。
なぜ甘いもの(糖質)が欲しくなるのか
仕事やスポーツで疲れると甘いものが欲しくなります。体内に取り入れられた糖質は消化・分解の過程でエネルギーを供給し、脳や筋肉が働くためのエネルギー源として役割を果たしています。肝臓に蓄積されていたグリコーゲンが底をつき、血液中の糖濃度(血糖値)が低下します。血糖値が低下するとエネルギーの補給が出来なくなりエネルギー不足となり疲労を感じやすくなります。
「3時のおやつ」という習慣も疲労を感じ始める午後3時ごろに甘いものが欲しくなることで生まれた言葉のようです。
糖質を摂ると太る?
糖質は炭水化物を構成する成分で、ご飯、パン、砂糖、果物の果糖などがあります。体内で過剰になったブドウ糖はグリコーゲンとして肝臓に蓄積されて必要に応じてブドウ糖に変化してエネルギー源として利用されます。しかし、グリコーゲンを蓄えられる量には限界があり、余分なブドウ糖は脂肪組織に運ばれて体脂肪として蓄積されてしまいます。そのため過度な摂取は肥満の原因となります。
不足してもエネルギー切れとなり、過度な糖質制限ダイエットなどで糖質を極端に抜くと低血糖になったり、リバウンドもしやすくなってしまいます。糖質の量は減らしつつ、その分、タンパク質や脂質を摂りカロリーは確保する食事を心がけたいですね。
なぜ砂糖は体によくないのか
世の中に存在しない添加物食品
白砂糖は精製過程でビタミンやミネラルなどを失った酸性食品で、人間の体は基本的に弱アルカリ性です。そのため砂糖が体内に入ると、中和するために体内のミネラル分が使われます。この時、最も多く消費されるのがカルシウムです。カルシウムは体内の骨や歯を溶かして供給されます。甘いものを摂ると虫歯になったり骨が弱くなる理由で、よく「コーラを飲むと骨が溶ける」など言われていたのは本当なのかもしれません。
様々な疾患を招く
糖類は、体内で分解される時にビタミンB1が必要となります。そのため、ビタミンB1の摂取量が少ないと欠乏症を起こし、疲労、めまい、貧血、頭痛、むくみ、湿疹、心疾患、呼吸器病、記憶障害、鬱、といった様々な症状を招いてしまいます。
筋肉を緩めていくのに必要なエネルギーであるビタミンB群、ミネラルが不足することにもつながります。筋肉を動かす、緩めるエネルギー源にはATP(アデノシン三リン酸)が必要になってきます。ATP産生に必要な鉄、マグネシウム、ビタミンB、C、Eなどの栄養素が不足してしまいます。
砂糖を摂ると疲れやすく、イライラ
砂糖は血中に取り込まれるのがとても速く、血糖値が急激に上昇します。ここで体が軽くなったような、眠気がなくなり元気になったような感覚になりますが、今度は急激な血糖値の上昇を抑えるため、体の働きで血糖値を下げようとし、急激に血糖値が下がることになります。この急上昇と低血糖を繰り返すことで、かえって疲労感を感じることになってしまいます。結果として思考力が減退、集中力がなくなり、短気でキレやすくなってしまいます。
また砂糖は体内のカルシウムを破壊するためイライラしてしまう働きがあります。カルシウムが不足することで胃ガンや大腸ガンの発生や増殖を抑える力も弱くなります。
コカインよりも常習性のある砂糖
甘いものを摂取すると、脳の神経伝達物質であるドーパミンを大量に分泌させます。血糖が急激に増えることで、脳の中でセロトニンという快楽物質が出てエンドルフィンといった脳内モルヒネが放出され、脳の快感中枢が刺激されます。幸せな気分に浸れますが、白砂糖中毒という麻薬的な常習性をもたらします。
※ 2016年には世界保健機関(WHO)が肥満や糖尿病を減らすため、砂糖の入った飲料への課税を進めるよう各国に呼びかけて、
「肥満や糖尿病に苦しむ人々を世界で増やす主要因だ」
「政府が課税すれば、人々の命を救える」
と訴えています。
AGEの増加
AGEの増加は体内の代謝不全、糖質の過剰摂取などにより起こります。エネルギーの材料にはブドウ糖が必要と言われていますので、糖分は重要であると思われていますが、過剰摂取すると糖化といわれる健康において重要な弊害をもたらします。
糖化が進むと体内ではAGE(終末糖化産物)が生成されます。体内で余った糖分がタンパク質と結びつき糖化することでAGEといわれる物質が生成され、その結果、身体が劣化することをいいます。AGEは、一度できたら分解されず、一生涯に渡って細胞内に蓄積されるというやっかいな存在で、肌のしみ、しわの原因となったり、糖尿病、動脈硬化、高血圧症、癌、腎疾患、骨粗鬆症、神経疾患など、加齢と関係性のある様々な疾患と関わっています。
映画「あまくない砂糖の話」
2016年にオーストラリアで製作された映画をご存知でしょうか?
- 高脂肪低糖質(高カロリー)は??
- 低脂肪高糖質(低カロリー)は◯
ぜひ、ご家族など、大切な方と一緒にご覧ください。
断糖生活で身も心もスッキリ
砂糖と精製された炭水化物は様々な食品に使われています。市販のサラダドレッシング、ソース、シリアル、フルーツジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなど。原材料欄にはブドウ糖(デキストロース)、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、果糖(フルクトース)、デキストリン、トレハロースなど異なる人工甘味料の名称で表記されていますので注意が必要です。
一般に「主食は炭水化物」と信じられているのは、ヒトが農耕を開始してから、一番簡単に大量に生産できたのが穀物だったからというだけの話で、もともとは狩猟民族でお肉や魚を主食に食べてきました。昔はなかった若年層での癌や糖尿病、鬱。これらの疾患も砂糖や精製食品が原因の一つではないでしょうか。
ご自身の健康はもちろん、ご家族の健康を考えるなら、砂糖の摂取は控えたいですね。細かく見ていくと調味料などにも含まれていますが、ここまで制限するのはなかなか大変かと思います。まずはお菓子や、清涼飲料水などを制限して砂糖の摂取量を減らしていければ良いかと思います。
砂糖を完全に断とうとすると禁断症状も出てきます。ですが1週間もすれば自然と食べたいという感情も薄れてきます。一度食べると中毒性があるので、完全に断つことをお勧めします。砂糖は摂りませんがエネルギー不足にならないよう炭水化物の量は減らしつつ、タンパク質や脂質を摂取します。
断砂糖をすると、集中力が持続します。肌がきれいになります。疲れにくくなります。睡眠の質も向上し、病にも強くなります。虫歯もなくなりお金も節約できます。脂肪をエネルギー源とするため自然と適正体重に近づきます。などなど良いことばかりです。
栄養療法も取り入れつつ筋肉チューニングで筋肉を元の状態に戻していきましょう。改善へのスピードアップも期待でき、様々な痛みから快方へと向かうサポートができると考えています。