食べることは生きること。
「体は食べたもので出来ている」という言葉があるくらい毎日の食事は心身の健康を作り出すうえで大事なことです。
食事の摂り方で筋肉の収縮・弛緩・質が変化していきますので、私たちセラピストは、施術の際にお客様に食事内容を確認して栄養のアドバイスをさせていただきます。
その時に、お腹の調子があまり良くないというお話をされる方が多い印象です。
◉便秘がち
◉下痢になりやすい
◉一度に食べられる量が少ない
◉プロテインを飲むとお腹が張る、痛くなる
◉脂っこい食事が苦手
◉胃薬を飲んでいる・・・など
これらの症状は、腸内環境の乱れ・ピロリ菌感染・ストレス・自立神経の乱れなど原因は様々ですが、これらの対処法をやってみたけど改善されなかった、結局は薬で何とかやっているという方に着目していただきたいのが「酵素」です。
食べ物が吸収しやすい形まで分解されるためには「消化酵素」の働きが必要不可欠です。
まずは「酵素」についてご説明していきます。
『酵素』の材料はタンパク質
目に見える部分も見えない部分にもたんぱく質が材料となって私たちの体は動き続けています。
目に見える部分では、肌艶の良さ・髪がツヤツヤ・筋肉が増えたなど体に変化があるとたんぱく質のおかげだなと解りますが、
目に見えない部分で言うと、心臓は意識しなくても動いていたり、体温調節、呼吸や食べた物の消化も意識せずとも出来ています。
この見えない部分の生命に関わる機能が無意識に正常に働いていることが生きていくうえでとても大切です。
肌が荒れていても髪がパサパサでも日常生活が送れるだけの筋肉があれば十分生きていけます。ですが、心臓が動かない、呼吸ができない、消化できないとなると人の体の危機です。栄養は重要なところから最優先に使われるということを知っておく必要があります。
「動き続ける体」のために体内では栄養素が働き様々な物質が生成され
常に代謝(エネルギー産生)が行われています。
そしてこのプロセスの要となるのが
たんぱく質で出来ている『酵素』です。
酵素は常に使われている消耗品です。
そのため、たんぱく質が摂れる食事やプロテインなどで不足しないよう心掛けたいです。
酵素とは?
酵素とは人の体内で起こる消化・吸収・代謝といった働きを調節する役割があり、体内で作られる「体内酵素」体外から摂取する「体外酵素」に分けられます。
さらに、体内酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」に分類されます。
体外酵素は体内で作り出すことができないので「食物酵素」とも言われ、ある特定の食品に含まれています。
酵素は動物、植物、微生物など生きているもの全てが体内に持っていて、分解、合成など様々な化学反応の触媒になります。触媒とは化学反応を起こす着火剤のような役割とイメージしてください。
私たちの体は常に化学反応が起きています。
その化学反応を助けるのが酵素で、人の体には約5000種類の酵素があると言われています。
酵素には決まった性質(基質特異性)があり酵素と基質(ビタミン、ミネラル)が組み合わさることで触媒としての作用を及ばします。パズルのピースがピッタリとはまるイメージです。この時のビタミンは補酵素、ミネラルは補因子と呼ばれます。つまり、タンパク質・ビタミン・ミネラルがバランス良く体内に存在していてそれぞれがピッタリと合わさっていなければエネルギーを作り出せないというわけです。
また、一つの酵素が一つの標的に噛み合うように設定されているのは、いろんな酵素がいろんな標的に反応してしまったら体の調節機能が狂ってしまうということから、酵素と基質は決まったペアがいるのです。
消化酵素の働き
消化酵素は胃・膵臓・小腸・口腔内(唾液腺)で分泌され、食べた物の栄養を体に吸収されやすい形へと分解する働きがあります。
たんぱく質不足があると消化酵素が作られなくなり、食べた物を細かく分解できなくなり結果、頑張って食べていても栄養がうまく使われないといった負のループに陥ってしまいます。
エネルギー源の栄養素である、糖質・タンパク質・脂質の分解ではそれぞれに働く酵素も決まっています。
唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ」はご飯やパンなどの澱粉やグリコーゲンなどの糖質を分解する働きがあります。そのため、よく噛んで唾液を出すことが消化力を助けることにもなります。
胃液に含まれる消化酵素「ペプシン」はたんぱく質を分解する働きがあります。ペプシンによってタンパク質がうまく分解・消化されないと小腸や大腸で未消化物が溜まってしまい腐敗が進みやすくなります。そして、悪玉菌が増殖したり毒素が排出されたりして体へ負担がかかってしまいます。体内に毒素を溜めないためにもペプシンがしっかり働くことが大切です。
膵液に含まれる消化酵素「リパーゼ」は脂質を分解する働きがあります。食物から摂取した脂肪は消化の過程で胆汁と混ざりあい、リパーゼによって分解が進められます。分解された脂肪は脂肪酸という物質に変わり、血液に乗って体のエネルギーとして使用されます。ただ、脂肪の摂取量が多く脂肪酸が多くなってしまうと、脂肪が体内へ蓄積され、体脂肪へと変わっていきます。
代謝酵素の働き
代謝酵素は食べたものが消化酵素によって分解された栄養素によって作られた酵素で「生きるためのエネルギー」となります。
細胞内のミトコンドリアで補酵素や補因子によって酵素反応が起きエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)が作られます。
代謝酵素が活発に働くと
◉新陳代謝
◉運動や呼吸
◉血液の循環
◉免疫力の維持
◉老廃物の排出
◉肌のターンオーバー
などすべての生命活動を維持することができます。
代謝についてはこちらの記事もご参考に!
酵素が働くには条件がある
酵素はたんぱく質です。加熱によって構造が変化してしまうと酵素の機能が失活してしまいます。
例えば、ゆで卵を生卵には戻せない・・といった状態です。
酵素は人や動物の体内で働くために摂氏35°から40°の温度で最もよく働きます。
そのため平熱が高いほど酵素がよく働くということになります。
さらに、それぞれの酵素で特定のpHの条件でしか働くことができません。
人の体液のpHは7.35~7.45なので、多くの酵素は中性付近のpHで最もよく働きます。
しかし、胃の中は胃酸により強い酸性であるため、胃で働くたんぱく質を分解する酵素であるペプシンは、pH2という非常に低いpHの条件下で最も活性が高くなり、中性付近ではほとんど働きません。
*pH:酸性かアルカリ性かを示す指標。pH7を中性としpH7未満を酸性,pH7以上をアルカリ性とします。
酵素を節約する
人は酵素を体内で生成していますが、それには限界があります。 一生の間に作られる酵素の量は上限があり(個体差はある) この酵素を使い切ると生命活動は停止してしまいます。
酵素を無駄遣いしてしまう一番気をつけたいことが
「食べ過ぎ」です。
体内では消化酵素から優先して使われ、その残りが代謝酵素として使われます。
消化はとてもエネルギーを消費しますし、その分大量の消化酵素が必要になります。
生きるためのエネルギーの代謝酵素が不足すると健康を保てなくなります。
酵素は解毒にも使われ、活性酸素除去も酵素がしています。
添加物、農薬、化学物質など体にとって「毒」になるものをできるだけ摂取しない、体にダメージを与えない生活を心がけることも大切です。
そして、消化酵素の働きをサポートするためにたんぱく質の分解を助ける体外酵素「食物酵素」を含む食材を上手に取り入れると酵素を節約できます。
酵素を多く含むものは、生野菜やフルーツ、生の肉や魚、発酵食品です。加熱すると機能性が失活するので生で食べることが重要です。
酵素が多いものでは、大根、かぶ、きゅうり、小松菜、人参、セロリ、青じそ、レタス、パセリ、パイナップル、キウイ、マンゴー、りんご、メロンがあります。
焼き魚に大根おろし、酢豚にパイナップルは理に適った組み合わせになります。
発酵食品の塩麹や醤油麹に肉を漬け込んでいくと柔らかくなり食べやすく消化も良くなるのでおすすめです。
酵素ドリンクはどうか?
ダイエットやファスティングで有名な酵素ドリンク。
実際に体にいいことがあったという方もいらっしゃると思います。
酵素ドリンクは、野菜や果物を砂糖と一緒に発酵させて食物酵素をひきだして作られます。
材料に微生物が繁殖して発酵され作られているということです。
食物酵素の働きはたんぱく質の消化を助けることなので、胃から下では機能せず体内酵素としての働きはありません。
酵素ドリンクで期待できることは、植物発酵エキスとして、植物の栄養素(フィトケミカルなど)の恩恵が受けられるということで、体内酵素が摂れる訳ではないということを理解する必要があります。
そして酵素ドリンクには糖質が多いので、糖質過剰にも注意が必要です。
動物は死後、自分の体を溶かすために酵素を半分残しておくそうです。
つまり酵素が半分に減った時が寿命というわけです。
生き物の全ては酵素があることで生きていて最後まで酵素を必要としているのですね。
私たちセラピストがたんぱく質の重要性をお伝えすると、整体=筋肉=たんぱく質というイメージが強いかもしれませんが、その先の奥深いところに「酵素=エネルギー代謝」という人の体に最も重要な働きがあるということまでわかると「たんぱく質の重み」がご理解いただけると思います。
地球上の可食植物10万種類の中で最高の栄養を誇るスーパーフード中のスーパーフード、国産琉球モリンガを配合したたんぱく質。
ご購入はこちらから