ちゃんと噛み砕いていますか?咀嚼の効果とは

重要なのに軽視されがちな「咀嚼」

前回の記事にて腸内環境を整えることが健康への第一歩ということで解説しました。栄養素を考えて食品を摂っても腸内環境が悪いと吸収が悪く、栄養をしっかり吸収するためにも、まずは腸内環境を整えることが第一歩です。
前回は細菌についてでしたが、今回は腸内環境を整える上で重要となってくる「咀嚼(そしゃく)」について解説していきます。

子供の頃から「よく噛んで食べなさい」と言われてきたかと思いますが、なぜそれが重要なのか。喉に詰まらないため、満腹感を得るため。これらも大事ですが、それ以上に身体を健康な状態にするために、「咀嚼」「よく噛んで食べる」ことはかなり重要なのです。

ウィキペディアより

咀嚼は単に食物を粉砕し、唾液と混ぜ、飲み込みやすくするのみでなく、口腔内を刺激することにより各臓器の消化液の分泌を促進し、口腔内の自浄を行い、食物と共に口腔内に進入した異物を除去するなどの役割がある。
また、脳内の血液量の増加、覚醒効果やリラックス効果、噛むことは歯を丈夫にするだけでなく、肥満、ぼけ、視力低下、姿勢悪化、虫歯、ガンなどを予防し、内臓の働きを助け、大脳の働きを活発にし、精神を安定させ、ダイエット効果もある。
そしてよく噛むことで顎の筋肉を使うため、顎が引き締まり顔がすっきりするとも言われる。

とあります。
これを見ただけでも、咀嚼するメリットはかなり多く、今日からよく噛んで食べようと思うかもしれません。

腸内環境悪化のサイン
    • お腹を下しやすい
    • 便秘
    • おならが臭い
    • 花粉症などアレルギー体質

etc…

よく噛むことがなぜ腸内環境の改善に繋がるのか。口と腸は繋がっていて、同じ消化器官と言ってもいいと思います。

私達は学校や仕事に行き、夜は明日に備えて眠るかと思いますが、腸はその間も24時間、365日、休まずに働いているのです。あなたが食べたものをしっかり消化、吸収しないといけないからです。そこに入ってくるものが、口で砕かれていなかったら消化するのも大変ですし、お菓子やアルコールなど暴飲暴食をしていると腸への負担は溜まっていきます。
腸は強い器官なので症状が出にくいのですが、腸が疲れると、免疫の低下、善玉菌の減少により、正常な消化吸収ができなくなっていきます。

上記の腸内環境の悪化のサインが当てはまる方は、日々の食事の摂り方に気をつけるとともに、前回の記事にてご紹介した「酪酸菌」の摂取がお勧めです。

腸内環境を整える「腸内細菌叢とオーソモレキュラー栄養療法」

2019.07.15

排便が毎日ある方でも腸内環境が悪い可能性もあります。健康な便は太からず細からずのバナナ状、色は薄黄土色、匂いもほぼ無い状態です。また、お尻を拭いても紙につかない状態が、いい便とされています。便は腸内細菌の死骸や腸粘膜のかすなので、回数も1回ではなく、2回、3回と排便することで新しい腸内細菌叢が作られるとされています。

咀嚼のメリット

  1. 胃腸を健康に
    食べ物をよく噛むと表面積が大きくなり、消化酵素による分解効率がよりアップします。また、アミラーゼなど、唾液に含まれる酵素は、食べ物の消化を助ける大切な成分なので、よく噛んで食べるほど、胃腸の負担は軽くなります。
    胃腸の負担が減ることで、腸が活性化し、栄養の吸収力も高まっていきます。
  2. 痴呆を防ぎ、知能を高める
    アルツハイマー病を引き起こすとされる、たんぱく質「ベータアミロイド」。脳の神経細胞を壊す有害な物質です。ベータアミロイドは口の咀嚼運動が少ないほど多くなり、よく噛む人ほど痴呆になりにくく、脳が活発に機能し、反射神経や記憶力、認識力、判断力、集中力なども高まると言われています。
  3. 丈夫な歯を作る
    咀嚼は歯根に刺激を与え、歯を支える骨の細胞の新陳代謝を良くします。また唾液中には抗菌作用のある酵素や、カルシウムと結合して歯を強化するたんぱく質など、虫歯を寄せつけない成分が含まれているので、しっかり噛めば噛むほど唾液はたくさん分泌され、虫歯や歯周病の予防効果は高まります。
    しっかり噛むことは、歯の健康に好影響をもたらすので、スマホ片手のながら食いなどを辞め、ゆっくり食べることだけに集中して食事を摂ることが大事なのです。
  4. がんや生活習慣病を防ぐ
    唾液に含まれるペルオキシダーゼには、がんの引き金となる活性酸素を抑制する効果があるとされています。がんだけでなく、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病にも有効です。
  5. アレルギー性の病気予防
    アレルギー性の病気とは、違う生体を体内に入れることによって起こるもの。食べ物をよく噛み、消化吸収を促すことで、抗原抗体反応によって起こる食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、小児ぜんそく、花粉症などはある程度、予防することができると言われています。
  6. ダイエットや美容効果
    食べ物をよく噛むと、エネルギーの生産能力は上昇します。また、咀嚼することで唾液が多量に分泌され、血糖値が高まり満腹中枢が刺激されます。そのため、食べ過ぎを防ぎ、効果的にダイエットができるのです。さらに、顔の筋肉と骨が鍛えられ、しわを予防。顔が引き締まり若々しい表情を作ることができます。
    十分に咀嚼しない人の胃は、より大きな食物の塊を受け入れるため拡張します。また腸も同様に、食物を吸収するため拡張しやすくなります。そのため身体の生理的変化を引き起こし、腸障害の原因となるのです。
    僕も時間がない時など、あまり噛まずに食べてしまい、すぐにお腹が空くというのをよく経験します。
  7. 力を出したい時に
    力を入れる時に奥歯で食いしばるかと思いますが、よく噛んで食べていれば、歯や顎が鍛えられ、ぐっと噛みしめて力を発揮することができます。スポーツをやっている方はもちろん、仕事でも勝負所では、日々の咀嚼力がパフォーマンスにも影響します。
    スポーツ選手でマウスピースをしているのを見たことがあるかと思います。
    咀嚼力を高めるには
    • 歯ごたえのある材料を使って料理
    • 素材はやや大きめに切る
    • 食事にはゆっくり時間をかる
    • 食べ物を水や飲み物で流し込まない
  8. リズム運動によって鬱の改善
    「呼吸」「歩行」「咀嚼」普段行なっている生命活動の3つのリズム運動をしっかりやる事で、脳内のセロトニン分泌を活性化させる事が、研究によって実証されています。なんとなくではなく、意識して行うことでセロトニンの分泌に効果的で、セロトニンを活性化させる事で鬱の改善に繋がるのです。
    • 意識的に深く深呼吸してみる。
    • 食べることに集中してよく噛む。
    • ダラダラではなく身体の動きを意識して歩く。
    痛みのない方はぜひ、ゆっくりでもいいのでランニングがお勧めです。

    栄養療法にプラスして運動をはじめてみませんか?

    2019.02.15

「唾液の分泌」の為に「咀嚼」が必要

咀嚼は単に食物を粉砕し、唾液と混ぜ、飲み込みやすくする為だけだとしたら、初めから軟らかくて噛む必要性のない食べ物か、流動食で栄養をとれば、脳や体の健康は保たれるはずです。しかし咀嚼しなくなると全身に様々な機能不全が現れてきます。

先ほども説明しましたが、咀嚼はリズム運動で、その運動によって顎・口腔の感覚受容器が刺激され、感覚情報が脳に入るというメカニズムをとっています。口腔粘膜や舌には、味覚を感じる味雷、触覚・圧痛を感受する歯根膜、歯髄など、各種の感覚センサーが豊富に存在しています。
咀嚼するときには唾液の分泌が起こり、よく噛めば噛むほど唾液の分泌が増加する。この「唾液の分泌」が重要なのです。

唾液は血管拡張物質や神経成長因子などの生理活性物質を放出しているので、咀嚼によって唾液の分泌が増えれば、血流のなかの物質濃度が高くなるため、自律神経のパワーバランスも改善されます。反対に食べ物を噛まずに摂取すると、重要な情報の欠落が起こり、全身の臓器調節に障害が出ることになります。現代のように加工食品があふれ、ほとんど咀嚼せずに飲み込むような食事を続けていれば、全身調節を司っている自律神経が乱れ、予想もつかない病気を引き起こす恐れがあるといえます。

忙しいからと柔らかい物ばかりを早食いしていることが意外な落とし穴となりそうです。

食物繊維を摂る

腸内細菌、食物繊維については前回の記事を参考にしていただきたいのですが、食物繊維はコレステロールをくっつけて体外へ排出したり、腸内細菌のエサにもなるなど重要な役割を持っています。癌や心臓病など生命に関わる疾患には注目が集まりますが、硬い食べ物や食物繊維をきちんと咀嚼することにより、血中の悪玉コレステロール値を下げ、動脈硬化や高血圧を予防する。つぎに、腸の運動を高めて便秘を防ぐ、肝臓が脂肪をつくるのを抑え、肥満を予防し、血糖値も下げ、糖尿病予防にもなる。また、食物繊維が食べ物の発ガン物質を吸着して、腸内で悪事をせずに、体外に追い出す。腸内細菌を増やし腸内フローラが改善しNK細胞が活性化することで癌を予防することにも繋がります。癌や心臓病も重要ですが、病院のドクターでもはっきりと病名や、原因を説明できない体の不調こそが、現代人の健康不安感の源だと思います。

このような原因不明の病気が咀嚼によって快方に向かうのなら試してみる価値はあるかと考えます。野菜や果物を、ミキサーでジュースにしたものを飲むというのは、カタチは細かくなっているとはいえ、食物繊維がなくなっている状態です。大切なのは、「唾液」。食べ物を噛みながら、大量の唾液としっかり混ぜることが大切です。そうすることで腸に負担をかけず健康的な食事ができ、健康的な排便、腸内環境へと繋がります。

まとめ

加工食品など柔らかい食べ物が増え、咀嚼力が衰えつつあると言われています。弥生時代と比べると、一食当たりの咀嚼回数は6分の1に減っているともされ、戦前の和食を食べていた際と比較しても、半分以下に落ちているとも。
食事は舌で味わい、目で楽しみ、匂いを嗅ぎ、歯ごたえを感じながら食べる。ゆっくりと豊かな食生活を満喫し、ハンバーグなどの柔らかいものや、スープやスムージーのような液体食品ばかりでなく、歯ごたえのあるものを意識して摂理、咀嚼力を鍛えましょう。

私たちの店舗でも栄養療法を取り入れ、筋肉の状態を良くするために、たんぱく質をしっかり摂れるようプロテインの推奨、ビタミン・ミネラルの補給のためにサプリメントを勧めています。
しかし、我々が一番重要だと考えるのは日々の食事から栄養素をしっかり摂取することだと考えています。
それでも、食欲のない方や、忙しくて食生活をなかなか変えられない方、食事では足りないので、すぐにでも栄養を身体に溜めていただきたい方には、食事も気をつけながら並行してプロテインやサプリメントの摂取を勧めています。

お肉、魚、豆腐、豆をたくさん食べて、たんぱく質を摂ってください。
野菜をたくさん食べて、食物繊維、ビタミン、ミネラルを摂ってください。
ご飯にも玄米を混ぜたり、少し固めに炊いてみたり。茹で野菜ばかりでなく、生野菜やお漬物も食卓に並べ、時にはおやつにナッツを食べたり。
食事とサプリメントのバランスが大事です。プロテインも唾液が出るように噛みながら飲むようにしましょう。

「医食同源Lab STORE」

どうしても忙しいとスムージーやパン、麺類などさっと食べられるものが多くなりがちです。
今回「医食同源Lab STORE」では「たんぱくパスタ」「たんぱく饂飩」の販売がスタートしました。
一般的なパスタは100gの内たんぱく質の含有量は5g程度です。「たんぱくパスタ」「たんぱく饂飩」は100gで18gものたんぱく質が摂れ、お肉100g食べるのと同等かそれ以上のたんぱく質を摂取できます。
忙しいのでさっと済ませたい、子供にもたんぱく質を摂ってもらいたい、食欲が落ちてきたご年配の方にもお勧めです。

3食これでは糖質過多になってしまうので、バランスが大事ですが、僕も時間がない時や、スポーツの前など糖質とタンパク質をさっと摂取でき糖質制限が流行っている中、そこまで罪悪感なく食べられるのがいいと思っています。
何より5分ほど茹でるだけなので、簡単ですし、普通のパスタや饂飩よりモチモチしていて美味しいので気に入っています。
もちろん食べる時は、一口一口噛みしめるのを忘れないこと。これだけで、身体の内部も外見もスッキリ変身できるなら、試してみる価値は十分ありそうです。
日々の食事から栄養素を摂取し、さらに健康になる為にサプリメントなどの補助食品を活用していきましょう。

医食同源Lab STOREhttps://ishokudogen.jp

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筋肉チューニングサロンUROOM

筋肉と向き合い體の本質を探究している整体院です。硬く縮こまり続ける状態の「筋拘縮」が痛みの多くの原因になっている可能性があります。筋肉の解除には筋肉チューニングと呼ばれる徒手施術が必要ですが、そこには「栄養」も大きく関わっています。 施術、栄養、セルフケア運動と體の本質から痛みからの解放のためのサポートをしていく整体院です。